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Sonatine 02  03/09/2011  
「なあアスラン……」
「如何なさいましたか?」
「ああ……うん……やっぱり何でもない」
「例の議案ですか?」
「……う……ん……大西洋連邦に入るって事はやっぱりわが国の信念に反する事……なのかな?」
「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」
「そうだ」
「大西洋連邦に入る事を提案した父を……パトリック・ザラを気にしてらっしゃるのですか?思う事があったら言葉にして言わなければ相手に伝わりませんよ」
「しかし……幼い頃からお父様とパトリックを近くでよく見てきた。パトリックのいう事に今まで間違った事なんて一つもなかった。彼に任せておけばこの国も心配ないと思うんだ」
「しかし、この国の王は貴女であり父ではありません。貴女が決めた事に国民は従うでしょう」
「そう……か……な……?」
「はい」
「うん、ありがとう!もう一度パトリックと話してみる!」
「はい、それが良いかと思います」
「でも、お前にも言いたい事があるぞ!」
「何でしょう?」
「私の事は『カガリ』と名前で呼べと言っているだろう!敬語もやめろ!」
「それは……」
「二人きりの時だけでもいい!女王でも貴女でもなく名前で呼べ!……そうでないと私は自分の名前さえ忘れてしまいそうだ」
「分かった……カガリ」
「うん!それでいい!」





Sonatine 02
月の影





ずっとずっと、世の中がどれ程変わろうと、人々がどれ程変わろうと、アスランだけは変わらず傍にいて笑っていてくれる。
そう信じていたのに……。


大西洋連邦に入るのはやっぱり止めておきたい、そうパトリックに伝えたのは昨日の事。
政治に関する事で自分の意思を他人にはっきりと伝えたのはこれが初めてかもしれない。
パトリックは少々驚いた顔をしていたが、多分問題ないはずだ。アスランの言った通り私がこの国の王なのだから。
ちゃんと言えた、とアスランに伝えた時もアスランは笑って『それは頑張りましたね』と頭をわしゃわしゃしてくれたんだ。……頭がくしゃくしゃになる!と怒ったら眉をちょっとハの字にするから自分が悪いような気になってしまった。
そんなところまでいつもと同じ日常そのものだった。

けれども次の日突然、私の世界は変わる事となった。


「アス……ラン……?」


夜、皆が寝静る頃を見計らってそっと部屋の窓から城内の小庭へと出る。
芝生が青々として、小さな野花がひっそりと咲くそこは、空も海もよく見えた。
だから小さい頃からお気に入りで、アスランとも小さい頃はそこでよく遊んだ。
とはいえ大きくなり、女王となった今ではここでアスランの顔を見る事さえなくなった。

だからここでアスランの姿を見た瞬間、幼かった頃へと戻ったような気になったのだ。

だから
勘違いしてしまったのかもしれない

自分がただの「カガリ」であり、アスランもただの「アスラン」だと


「アスラン……?どうしたんだ?こんな時間に……」


この日は美しい満月で、遠くに見える海面がそっと月を映していた。
月が明るければ明るいほど影は濃く、庭に縁取られた塀の濃い影に、アスランは身を丸くしてじっと座り込んでいる。
まるで庭石の一つにでもなったかのように、顔を膝の間に埋め込み、気配を消していた。


そっと肩に手を置くとアスランの体がびくりと震え、まるで悪い事をしてしかられて隠れている子供のようにも見える。カガリの声に呼応するように顔を上げたアスランの瞳は涙に濡れ、月を映して黄色く輝いていた。

「どっ……どうしたんだっ、何があった!?」
「……カガリ……君……なのか……?」
「ああ!私だっ―」
「―」

突然圧し掛かられた質量に息が詰まる。

「アスっ……苦しっ……!」

予期しない事態に頭が混乱して冷静に考えられない。
そもそもこんな焦燥したアスランを見た事がない。
いつも冷静沈着で優しくて穏やかだった。

今目の前にいるアスランはまるで別人のようで―

「痛いっ!アスラン!」

両腕両足を押さえつけられ、見下ろされた瞳は酷く冷たい。
こんな瞳は見た事がない―否、一度だけ見たことがある。

かつてオーブ国内を騒がしていた連続殺人犯が捕まって死刑にかけられる時、あの時もアスランはこんな感情の見えない冷たい瞳で処刑を眺めていた。

ただ一つあの時と違うのは、頬に落ちてきた雫。

どうして泣きながらこんなに冷たい目をする?


「カガリ……もしかしたら君には罪は無いかもしれない……」
「アスラン?」
「けれど……それでも……俺は君を許せない。君を、アスハを……」
「何言っ―んっ!」


突然口を塞がれ生暖かくて柔らかい物が口に捻じ込まれる。

それが所謂キスだというものだと気が付くのに少し時間がかかった。

「んっ……っつ……!」

別にアスランが嫌いなわけじゃない。
どちらかといえば……好きだ。

こういう事があるかもしれないと、想像しては胸をときめかせた事だって……正直に言えばある。

けれど、こんな一方的な展開を望んだ訳じゃない。

お互いの気持ちが通い合って、自然にそうなるものだと思っていた。

なのに……!



こんなの……!



月がぐにゃりと歪んで見える。
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