流転 8 05/16/2009
〔注意〕
これは双子誕生記念話です。
が、暗くて悲しい話です。
特にアスランとカガリが不幸です。
キラカガ、アスメイ(というよりメイアス)、シンカガ要素ありありなのでご注意ください。
メの字アレルギーの方は特にご注意ください。
どんな話でも怒らない
という心の広い方のみでお願いいたします。
「おはよう」
「ザラ准将!?どうしたんですか!?」
有給の翌日は一日の半分は言い訳に費やされたように思う。
「いや、ちょっと寝ぼけて階段から落ちて」
どうにも嘘くさい言い訳を皆が信じたわけではないだろうが、とりあえずそう言い通すしかなかった。
数日もすれば何も無かったかのように日常へと戻る。
世の中とはそういうものだ。
その数日の間に何が起こって、今また何か起ころうとしているなんて俺には知りようも無かった。
流 転 8 -事情と感情と実情-
「失礼します」
「ああ、メイリン、そこに掛けてくれ」
「ありがとうございます」
執務室には大きな深緑色のソファがおいてあり、メイリンはその一角に腰を掛けた。
「代表!お気遣いは結構です!」
「大丈夫、気楽にしていてくれ」
カガリはポットとティーカップをトレーごと机に運ぶと、静かに注いだ。
乳白色のカップが金にも似た茶色い液体で満たされていく。
「あと『代表』なんて呼び方はいいよ、カガリと呼んでくれ」
「カガリ…さん…」
「うん、それでいい。研修ももう終わりだな、そちらの調子はどうだ?」
「あ、はい!昨日も報告書をお送りしたのですが」
「ああ、読んだ。やっぱり三ヶ月というのは短すぎただろうか?」
「いえ!例え少しの期間でもとても有意義でした」
「それは良かった!今後もこういう事が実現出来るようにしていきたいと思っている」
執務室に差し込む夕陽があちこちに長い影を作っている。
穏やかだった春が終わり、夏がもうそこまでやってきている。
長くなった昼間の時間は仕事時間を短くさせるような気がする。
「メイリンが帰るまでの間に会える機会は無いだろうけど…向こうでも元気にやってくれ」
「あ…あのっ!」
立ち上がりかけたカガリをメイリンが制止する。
「何だ?」
「あの…っ…アスランさんの事なんです」
カガリの手がピクリと動いた。
ような気がした。
「ザラ准将がどうかしたのか?」
カガリの声はいつもと変わらない。
「こんな事私が言う事じゃないって分かってます…でも!元ザフトの彼をここに置いておくのはやっぱり良くないと思うんです!」
「……それは…」
「アスランさんだってここが居心地いいはずないです!元ザフトだからっていつも偏見の目で見られてっ」
「…本人の希望があればいつでも除隊は出来る」
「アスランさんはそんな無責任な人じゃありません!仕事があれば、望まれればずっとこの国であなたのために自分を殺し続けるんです!」
長く伸びた影が夕闇と交じり合い徐々にその形を失っていく。
夜がもうすぐそこまで来ていた。
「…話はわかった…」
カガリの声も態度も変わらない。
「どうして…どうしてそんなに冷静でいられるんですか!?この間…彼、私の部屋に泊まったんです」
「……」
「驚かないんですか?」
「…アスランの自由だ」
「あなたは…どうしてそんなっ……!私は…私は…アスランさんが好きです!絶対に彼をプラントに連れて帰ります!」
メイリンの足音と扉の開閉音が慌しく部屋に木霊する。
残されたのはカガリ一人と夕闇。
「…私にはこの国がある…それ以上何かを望んだらそれは贅沢というものだろう…?
だから……」
暗く静かな部屋にカガリ一人の声が小さく響く。
全ての人たちが幸せに暮らせる世界
それを作るのが私の使命
皆の笑顔さえ見られれば…
「…満足だ…」
お前の幸せは私の幸せ
「だからここは喜ぶべきだろう?どうしてこんなに…」
胸が苦しい
To be continued.
-------------------------
やっぱり大事な事は本人が話さないとだめですよ。
当人同士が話さないとややこしい事になる、の典型・・・
話してもどうしようもない場合もあるけど・・・
話し合いで解決できる事も多い、と思います。
まあこの場合お互いがお互いのことを思いやりすぎて自分の主張をしない事が・・・・
さてさて・・後半に差し掛かってきました。
これは双子誕生記念話です。
が、暗くて悲しい話です。
特にアスランとカガリが不幸です。
キラカガ、アスメイ(というよりメイアス)、シンカガ要素ありありなのでご注意ください。
メの字アレルギーの方は特にご注意ください。
どんな話でも怒らない
という心の広い方のみでお願いいたします。
「おはよう」
「ザラ准将!?どうしたんですか!?」
有給の翌日は一日の半分は言い訳に費やされたように思う。
「いや、ちょっと寝ぼけて階段から落ちて」
どうにも嘘くさい言い訳を皆が信じたわけではないだろうが、とりあえずそう言い通すしかなかった。
数日もすれば何も無かったかのように日常へと戻る。
世の中とはそういうものだ。
その数日の間に何が起こって、今また何か起ころうとしているなんて俺には知りようも無かった。
流 転 8 -事情と感情と実情-
「失礼します」
「ああ、メイリン、そこに掛けてくれ」
「ありがとうございます」
執務室には大きな深緑色のソファがおいてあり、メイリンはその一角に腰を掛けた。
「代表!お気遣いは結構です!」
「大丈夫、気楽にしていてくれ」
カガリはポットとティーカップをトレーごと机に運ぶと、静かに注いだ。
乳白色のカップが金にも似た茶色い液体で満たされていく。
「あと『代表』なんて呼び方はいいよ、カガリと呼んでくれ」
「カガリ…さん…」
「うん、それでいい。研修ももう終わりだな、そちらの調子はどうだ?」
「あ、はい!昨日も報告書をお送りしたのですが」
「ああ、読んだ。やっぱり三ヶ月というのは短すぎただろうか?」
「いえ!例え少しの期間でもとても有意義でした」
「それは良かった!今後もこういう事が実現出来るようにしていきたいと思っている」
執務室に差し込む夕陽があちこちに長い影を作っている。
穏やかだった春が終わり、夏がもうそこまでやってきている。
長くなった昼間の時間は仕事時間を短くさせるような気がする。
「メイリンが帰るまでの間に会える機会は無いだろうけど…向こうでも元気にやってくれ」
「あ…あのっ!」
立ち上がりかけたカガリをメイリンが制止する。
「何だ?」
「あの…っ…アスランさんの事なんです」
カガリの手がピクリと動いた。
ような気がした。
「ザラ准将がどうかしたのか?」
カガリの声はいつもと変わらない。
「こんな事私が言う事じゃないって分かってます…でも!元ザフトの彼をここに置いておくのはやっぱり良くないと思うんです!」
「……それは…」
「アスランさんだってここが居心地いいはずないです!元ザフトだからっていつも偏見の目で見られてっ」
「…本人の希望があればいつでも除隊は出来る」
「アスランさんはそんな無責任な人じゃありません!仕事があれば、望まれればずっとこの国であなたのために自分を殺し続けるんです!」
長く伸びた影が夕闇と交じり合い徐々にその形を失っていく。
夜がもうすぐそこまで来ていた。
「…話はわかった…」
カガリの声も態度も変わらない。
「どうして…どうしてそんなに冷静でいられるんですか!?この間…彼、私の部屋に泊まったんです」
「……」
「驚かないんですか?」
「…アスランの自由だ」
「あなたは…どうしてそんなっ……!私は…私は…アスランさんが好きです!絶対に彼をプラントに連れて帰ります!」
メイリンの足音と扉の開閉音が慌しく部屋に木霊する。
残されたのはカガリ一人と夕闇。
「…私にはこの国がある…それ以上何かを望んだらそれは贅沢というものだろう…?
だから……」
暗く静かな部屋にカガリ一人の声が小さく響く。
全ての人たちが幸せに暮らせる世界
それを作るのが私の使命
皆の笑顔さえ見られれば…
「…満足だ…」
お前の幸せは私の幸せ
「だからここは喜ぶべきだろう?どうしてこんなに…」
胸が苦しい
To be continued.
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やっぱり大事な事は本人が話さないとだめですよ。
当人同士が話さないとややこしい事になる、の典型・・・
話してもどうしようもない場合もあるけど・・・
話し合いで解決できる事も多い、と思います。
まあこの場合お互いがお互いのことを思いやりすぎて自分の主張をしない事が・・・・
さてさて・・後半に差し掛かってきました。
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