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魚の夢(仮題)  08/13/2008  
「何してるんだ?」

その人はそこにいた。

泥だらけの田んぼの中にスーツ姿で。

「いやその…落ちちゃって」

その人はそう言いながら辺りを見渡している。

「自転車ならここにあるぞ」
「いや、探しているのは眼鏡なんだ。あっ、いいよ!汚れるから!」
「眼鏡無しで眼鏡探せるのか?」

制止の声を受け流し裸足になって田んぼに入る。
泥がひんやりとしてちょっと気持ち良い。

その人の周囲をゆっくり一周すると眼鏡のツルの端らしきものが見えた。

「あった!ほら、これだろ?」
「本当に!?ありがとう!助かったよ!これで仕事に行ける!」
「そ…その格好で仕事に行く気か?」
「は?」

申し訳ないけれどおかしくて笑いが止まらない。

「だって泥だらけのスーツと泥だらけの眼鏡で仕事行くのか?」
「確かに…」
「ちょっと待ってろ」

近くの「真阿南」家のインターホンを鳴らす。

「あらカガリちゃん、どうかしたの?」
「すみません、外の水道を借りれませんか?」
「まあ!泥だらけ!今タオルも持ってくるわ!」
「私は部活用のタオルがあるので大丈夫です。この人お任せしていいですか?」

振り向けばその人は本当に申し訳なさそうに立ちすくんでいるので、再び笑いそうになるのをぐっと堪える。

「わかったわ」

真阿南のお母さんもずっとクスクス笑っている。

「じゃあ私は遅刻しそうなので先に行きます」

手早く身支度を整え自転車にまたがる。

「待ってくれ!お礼を…!」
「お礼なら真阿南さんに言ってくれ。私は大した事してないから」
「そんなことっ…」
「じゃ、急ぐから!」

始業のベルまであと15分。
全速力で息を切らしながら教室に駆け込んだ。

私の頭の中はいつも勉強と部活と友達の事とかでいつも一杯。
だから今朝の事もすぐに忘れてしまった。
三時限目の理科の授業でまさかこんな事が起きるなんて思いもしなかった。

その人は目の前にいた。

「今日からこのクラスの理科を教える事になりました。アスラン・ザラです。よろしく」

目の前にはまさしく今朝の泥だらけの男の人。

「漫画みたいだ…」

黒板の前で彼は緑の瞳を細めてそっと微笑んだ。

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続く…かもしれないし
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