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酔った勢いなんてありえない。
しかも記憶が無いなんて…
次の日の朝はいつもより太陽が眩しくてくらくらした。
頭が痛くて気分が悪いのは飲みすぎたから、だけじゃきっとない。


こんな出会いなんて無い。
こんな風に始まる恋なんて無い。




例えばこんな出会いでも僕は君に恋をする 3







月曜日、当然の如く足は重くていっその事このまま会社を辞めてしまいたい気持ちで一杯だった。
それでも時間は過ぎていくし、本当に会社に行かない訳にはいかない。

何が嫌だと言えば何も憶えていないという事だ。
こういう場合一般的には男側の責任になるのだろうか?
しかし飲みすぎた自分が悪いのも明らかで、何よりその経緯が全く分からない。
憶えてない、というのも失礼な気がして昨日は言葉を濁し逃げるように別れてしまった。
それを改めて何がどうして?と尋ねることも気が引ける。

何しろこんな事は初めてなのだ。
今までそれなりに彼氏がいた事もあるし経験もある。
だけど初めて会ったその日に、しかも酔った勢いで、なんていうのは初めてだ。

そこでふと相手について考えてみる。

アイツは…どうなのだろうか?
自分が初めてだからと言って相手も初めてだとは限らない。
彼にとって…アスラン・ザラにとってこういう事がよくある事だとしたら?

少しだけ幼さの残る顔立ちは整っていて自分から見ても綺麗だと思う。
藍色の髪に緑の瞳が印象的で、人目を惹く外見だ。
少し取っ付き難い部分もあるし、仕事に対する姿勢も真面目で真剣なのは好感が持てた。
しかし話してみれば意外とよく笑うし頭が良いからか話も面白い。

…どう考えてももてるだろう…

軽いヤツには見えなかったけれど、実際はどうなのかなんて分からない。
実際固い奴ならこんな事にはならなかっただろうし…



怖い



恋愛経験が豊富とは決して言えない自分には荷が重過ぎる。
酔った上での事とは言え「単なる過ちだ」と言われたら…

別に自分がアイツの事を好きな訳じゃないけれど…それでも否定されるのは怖い…
あんなにもてそうな奴が3つも年上の自分を好きになるなんてありえないだろう。
アイツはきっとあの夜も大した事があったなんて思ってはいないのだろうし…



指先が凍えて微かに震える。



私は
この週末の出来事を何も無かった事に
全てに蓋をする事にした-








「カガリ?」

声をかけられて我に返るとCAD画面の上からフレイが変な顔をして覗き込んでいた。

「何だ?」
「何だじゃないわよ!もうお昼よ?食堂行きましょ!」

胃がキリ、と痛む。
設計と営業はフロアも遠いし、食堂もいくつかあるから出会う確立はそれ程高くない。
それでももし出会ってしまったら?
話しかけられても無視されても…困る。

顔を…姿を見たくない…!


「きょ…今日は外へ行かないかっ?」
「いいけど…ふーん」

フレイが意味深な視線でじっと見てくる。
フレイは鋭すぎる。
…それとも自分が分かり易過ぎるのか…?


「あんた分かり易過ぎるのよ!」
「…何が?」
「週末何かあったんでしょ!」

会社近くの人気の店でスパゲティとケーキのセットランチを注文した。
店内はいつも女性客で埋め尽くされている。
それでも一応店内を見渡し、ほっと息を吐き席に着く。
本日のスパゲティであるカルボナーラの上に載った半熟卵を崩しながらフレイの尋問は続いた。

「…別に何かという程の事は何もない…」

フォークでくるくると巻いたスパゲティに黄色が絡んでいく。
フレイの物怖じしないはっきりとした物言いは気持ちがよくて好きだけれど、それが自分に向けられるとなると大変だ。
こういう時のフレイに何かを隠しおおせた例は無い。

「じゃあ営業から誰が来たの?」
「ハイネ先輩と新人だ」
「新人って誰?名前は?」
「……アスラン・ザラ」
「知ってるわ、入社すぐから格好良いって評判の子ね!その彼と何があったの?」

どうしてアイツと何かあったんだと分かるんだ?
それにやっぱり評判なんだ…
アイツの事は何とも思ってないし、もう忘れると決めたのにこの胸の奥に降り積もる澱は何だ?

「…別に…一緒に飲んで…寝ただけだ…」

それは言葉にすると本当に大した事じゃないように思えてきた。
そして言葉にする事で本当に大した事じゃないと、自分に言い聞かせたかったのかもしれない。

「あんたが…!?」
「…はっきり憶えてないけど…」

目を丸くして驚くフレイの手元のフォークからカルボナーラのソースが一滴皿の上に落ちた。

「で?」
「で、って何だ。それだけだ」
「付き合うの?」
「付き合う訳ないだろう。…よくある一晩の過ちってヤツだ」
「カガリにとってはよくある話じゃないでしょう!?それで本当にいいの?」
「いいんだ。この事はもう忘れるって決めたからいいんだ」

フレイはそれ以上何も聞かなかった。
少しの沈黙の後あっさり全く違う話に変えて…今朝の情報番組でやっていた芸能ニュースについてあれこれ話した後店を出た。

本当は誰かに話を聞いて欲しかったのかもしれない。
忘れる、大した事じゃないと自分にどんなに言い聞かせても、どこか完全には割り切れないのも事実なのだ。

会社が見えてきた時、フレイが立ち止まり振り返る。

「カガリがもういいって言うのならもう言わないけど…カガリは本当にそれでいいの?彼の事少しも好きじゃないの?」


少しも
好きじゃない?


「うん……い…や……」

臆病だから認めたくなかった。
怖がりだから傷つきたくなかった。

本当は少しだけ好きになってたんだ。
多分あの瞳を見た瞬間に。

「やだっ!カガリ、泣かないで!」
「好き…かもしれない…けれ…ど…っ……もう…いいんだ…もう…」
「カガリ…」

あの日突然振り出した雪のように突然降ってきた恋は、雪と同じようにあっという間に消えてしまった。
なのに空っぽの想いだけが未練がましく心に残っていた。







To be continued.
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誰だっけ?すぐに続きUPするって呟いてたのは・・ ・・・ (沈黙
ええと・・しばらくすれ違いの予定です。
いろいろカガリにもアスランにも回り道(まあ所謂○角関係?)してもらう予定なので、そういうのが苦手な方は今後お気をつけ下さい。
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