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例えばこんな出会いでも僕は君に恋をする 2



2人きりの車内はとても静かですれ違う車のタイヤの音だけが窓の外を通り過ぎていく。
いつの間にか薄暗い空からは白いものがチラつき始めていた。
白いふわふわした雪が落ちてきては窓ガラスにぶつかり、一瞬にして透明な液体に変わる。
液体になった雪は小さな丸い水の塊になっては下方へと流れていく。

ぼんやりと雪を目で追いかけているうちに頭が朦朧としてくる。
外は寒そうだけれど車中は暖かい。
この車の揺れに加え、雪がゆっくり空から落ちてくる様がどうにも眠気を誘う。
運転してもらっているのに寝ては失礼だし、申し訳ないと思いつつも、やって来る睡魔をどうしても追い払うことが出来なくていつの間にか意識を手放してしまった。





遠くで誰かの声がする…?
心地よいテナーの響き。


「…ハさん」

「スハさん?」

眠い目を擦りながら必死に意識を覚醒させる。

「ん…ごめん…寝ちゃったみたいだ…」
「いえ、それは構わないんですが…」
「何?」

いつの間にか車が路肩に寄せられて…運転席から翡翠色の瞳が困惑したようにこちらを見ていた。
不思議に思いつつ窓の外を見てみればいつの間にか一面銀世界に変わっている。

「わっ!凄いっ!降りてみていいか?」
「は…はい…」

車のドアを開け空を見上げれば雪は次から次へと降ってきては頬に当たり、水へと変わる。
足元に積もった雪をふんわりと手で丸め柔らかい雪玉を作る。
車のドアの開閉音が聞こえ、ぎゅ、ぎゅ、という足音が近付く。

ちょっとした悪戯心が芽生え、手の中にある雪玉を振り向きざま放り投げる。

「そらっ!」
「わっ!」

けれどそれはアスランの持っていた傘に遮られ、ばらばらに砕け散って足元に崩れ落ちた。

「あっ!惜しいっ!」
「…子供みたいだ」
「それは馬鹿にしてるのか?いいじゃないか!こんなに沢山の雪がこのあたりで降るのって物凄く珍しいんだぞ!」
「それはまあ…」

再び雪玉を作ろうとして新雪に手を伸ばす。
手のひらに雪を乗せた瞬間声を掛けられて動きを止める。

「アスハさん」
「何?-!」

振り向いた瞬間目の前に白い塊が現れ咄嗟に除けようと後ろに下がり…


雪の上に尻餅を着いた。


「………あ」
「…すまないっ!」

アスランが慌てて頭上に傘を差しながら手を差し伸べた。
私は少し怒ったような顔をして……

差し出された手を思いっきり引っ張った。

「わっ!!」

予想通りアスランは前のめり雪の中へ突っ伏した。

「ぷっ」
「うわ…」
「っはははははっ!」

始めに私が笑って…苦い顔だったアスランもいつの間にか笑顔になって2人で思い切り笑った。

「…ははっ、雪塗れ!」
「本当だ。ほら、上着の中にも雪が入ってるのでは?」
「本当っ!?」

慌てて上着を捲ればアスランの言ったとおり溶けかけた雪の塊がぼとりと落ちる。

「冷た~!」
「しかし…この後どうしますか?」
「え?」
「この車スタッドレスじゃないし…チェーンも無くて…」
「も…もしかして…」
「動けない」

顔を見合わせて沈黙する。

車は動けない。
おまけに服は既にびしょ濡れでこのままでは確実に風邪を引く。

「…俺の家がここから歩いていけない距離じゃないけど…良かったら来ますか?」
「あ、うん。でもいいのか?」
「ええ、兎に角このままでは風邪引きそうだ」

言われるまでも無く、体温は徐々に奪われかなり寒くなってきていた。

タクシーを使うにしてもこんなに濡れた体では嫌な顔をされるのは間違いないだろうし、そういうのは自分としても不本意だ。
かといってこんな時間に男の家に行くのも躊躇われたが、同じ会社の、しかもハイネの後輩だから大丈夫だろうという-後から考えれば根拠も全く無い-安心感があった。
それにどう見てもアスランは真面目を絵に描いたような感じだったから、警戒しろという方が無理だというものだ。

あまりの寒さに、途中酒屋に寄り、カップ酒を買い、飲みながら並んで歩く。
飲みながら色んな話をして(主にハイネの話だった)アスランのアパートに到着する。

「今すぐお風呂入れますから…着替えはとりあえず俺のパジャマを使って下さい。スーツは乾燥機に入れればすぐ乾くと思います」

さすが一人暮らし、といった感じにテキパキと用意をしてくれる。
その好意を有難く受け取り、やや熱めの湯に浸かる。

「ふぁ~…あったまる~」

指先まで冷え切った手足がお湯の中でじんじんと痺れる。
頬が赤くなるまでたっぷり浸かってから上がると、アスランは既に部屋着に着替えてTVを見ていた。

「ありがとう。おかげですっごく温まった。お前も入って来いよ、風邪ひくぞ」
「ええ、そうします。その間冷蔵庫の中のものお好きにどうぞ」
「サンキュ」

アスランがバスルームに消えていくのを見送り、遠慮なく冷蔵庫の中を覗きこむ。
すると目に付くのはやはり缶ビールだった。
熱い風呂に入ったため喉は渇いて潤いを求めている。

しかし家主がいないのにアルコールもな…としばし逡巡するが喉の渇きと誘惑の方が強く、冷えたその缶を手にしてプルタブを引いた。

ぷしゅ

ごきゅ

「ぷはぁ~!やっぱ風呂上りのビールは最高っ」

やがて缶の中身が空になる頃家主が風呂から上がってきた。

「あ、ビールもらったんだけど良かったか?」
「いいよ、もう1本飲むか?」
「え?いいのか?」
「ああ、俺も飲むし」
「じゃあ遠慮なく」

ぷしゅ

ごきゅ

「「ぷはぁ~」」

思わず同時に出た声に顔を見合わせて笑い合った。

「アスハさん、すごく美味しそうに飲みますね」
「そういうお前だって!あ、私の事は”カガリ”と呼んでくれ。私も”アスラン”て呼んでいいか?」
「…カ…ガリ…?」
「そうそう!な!アスランっ!あと敬語も禁止なっ」
「えっ…でもっ…」
「いいからいいから!えっと…3つ下だっけ?それくらい関係ないって!」

先程歩きながらカップ酒を飲んだし、ビールも2本目だ。
更にアスランが美味しそうな純米吟醸酒を出してきてくれたから、すっかり良い気分になってしまった。

「うわっ!すごいこれっ!メロンの香りがするっ!」
「この香りがあるから辛口なのに甘い感じがするんだ」
「うんうんっ!美味しいっ!」
「良かったよ、俺一人で開けるのももったいないような気がして…開けるタイミングを狙ってたんだ」
「こんな良さそうな酒…私なんかがご相伴に預かって良かったのか?」
「いや、こちらこそ有難いよ。カガリのお陰で楽しく飲める」
「そう言って貰えると私も嬉しいっ」

今日初めて会った奴だけど…アスランって結構良い奴だよな。

なんて思いながら口当たりの良い日本酒を口に含む。

鼻に抜けるメロンの香りは飲み進めていくうちに慣れてだんだん感じられなくなってくる。


何だか体がふわふわしていい気持ち。













ピピピピピピピピ…


「…ん…」

いつもより目覚ましの音が耳の近くで聞こえる。
目を瞑ったまま手探りで目覚ましらしき物体を探り当てる。


ピピピ…

カチャ


静かになって再び布団に潜り込もうとして…背中に温かみを感じて不審に思い振り向く。

そこにあったのは藍色の髪を白いシーツに散らした昨日会ったばかりのハイネの後輩で…

「う…ん…」

小さく息を吐きながら、自分が動いたために出来た隙間を埋めるように手を自分のウエストに回してくっついてくる。

「…カ…ガ……リ…」

ウエストに回された腕と項に寄せられた唇に戸惑い、自分を改めて見て見れば何も着ていない。



もちろんアスランも…




理解できない現在の状況に頭の中が混乱する。








(ど……どうしよう…っ………全く憶えてないっっ!!!)








カガリ・ユラ・アスハ26歳。

人生初の出来事にどうしていいのかわかりませんっ!!








To be continued.
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多少修正と・・
当初同い年設定だったのをカガリを年上に変更しました・・
そういうのもいいかな??なんてww
次回から新展開?ですv


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