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ピクスタカガリ話続いてます☆




PICK STAR <手のひらの星> 2



その日は学校へ行ってもあの狼の事が気になって一日中上の空だった。

「カガリ、リボン片方どうしたの?」
「あっ…キラ、どこかで無くしちゃったみたいだ」

片手でリボンの無い方を撫でながらそう答え、もう片方もほどいてポケットにしまう。

小さい頃から仲良しのキラ。
今までは何でも話してきたのに今朝の事は言えなかった。
言えばきっと怒られる。
キラの口癖は『カガリは無防備すぎる!』だから…

それでも心に残るのはあの狼の事。
家に帰ると意を決して今朝の事を父に話した。

「この馬鹿娘がっ!危険な事をしおって!今までどれほどの仲間が奴らに殺られたと思うか!」
「でっでもっ…狼は大丈夫でしょうか?」
「歩けない程の傷を負ったとなればそのうちどこかで野垂れ死ぬであろう。これで少しは森が安全になる」
「…死…ぬ…?」
「そうだ。狼が走れぬという事は狩りが出来ぬという事。即ち死ぬという事だ。しかし狼がうろついておるとは…近所に知らせを出しておくから数日の間は遠出はするな。学校へも行かなくて良い。分かったな!?」
「は…い…」


『死』
それは時が来れば誰にでも平等に訪れるもの

森に住む生き物にとって『死』は決して遠い所の知らない話ではない。
けれど、それでもまだ幼いカガリにとっては『死』は未だ対峙した事のない未知なる恐怖でしかなかった。

狼とは言えど会った事のある、しかもまだ生きている命が消えると告げられた事はあまりにも大きな衝撃で、カガリは次の日の朝早く人参を手に家を抜け出した。

昨日の場所には狼の姿は既に無く、その代わりに何かを引き摺ったような跡が残っている。
それを辿っていくと洞穴があり、どきどきしながら奥へ進むと荒々しい呼吸の音と共に小さな鋭い光が2つ光っていた。

「…何者だ」

聞き覚えのある声、間違いなく昨日の狼だ。

「あの…っ」
「この匂いは昨日の兎か…何しに来た!?」
「昨日の…怪我はどうなんだ?」
「…お前には関係ないだろう」
「関係…っはないけど気になって…」

少しだけ近付くと狼の姿が見えてきて、暗闇の中の光は狼の目に重なった。
それでも一応一定の距離を取り立ち止まる。

 
 これだけ距離を保てば充分逃げられるだろう。


「何故ここに来た」
「…このままだとお前死ぬのか?」
「嬉しいか?お前達兎からみれば狼は大悪党だからな」
「そんな事…」
「悪の最後を見に来たという訳か」
「違うっ!」
「…ならば何しに来た」

 『狼』と『兎』はあまりにも違う生き物で、生きる世界も全く違うかもしれない。
 しかしだからといって絶対に分かり合えない、という訳ではないのではないだろうか?
 私は甘いかもしれない…
 けれどそんな自分は嫌いではないし、何より目の前の狼を信じてみたい。

「…少しでも助けたい」
「は?何を言っている。俺は兎を食う極悪非道の狼だぞ」
「でもっ、お前私を逃がしてくれたし…逃がしたら生きていけないって分かってて逃がしてくれたんだろ?お前そんなに悪い奴には思えない」
「…物好きな兎だな」
「友達には無防備だって言われる」
「ぷっ」
「あ!笑った!」
「…狼は笑わないと思っていたのか?」

恐怖の対象であるはずの狼の笑顔が予想外に優しくて、安心感と親しみがわいてくる。

「なあ、そっちに行っていいか?」
「………ああ」
「食べない、よな?」
「さあな」

ゆっくりとゆっくりと近付いていく。
手を伸ばせばすぐ届く距離だ。


 狼っていつも怖いからよく見てなかったけど…綺麗な生き物なんだな。

 
 兎っていつも慌てて食べるからよく見てなかったが…可愛い生き物なんだな。


狼の目の前までくると兎は手にしていた籠の中から何か取り出した。

「ほら!」
「…これは何だ?」
「人参だ!お腹が空いてるのならばこれを食べろ!」
「あの…な…」
「何だ?」
「……これはお前の好物なのか?」
「そうだ!」
「…………そうか…」

狼は兎が差し出したオレンジ色の物体を受け取ると、覚悟を決めたように一口齧った。
途端口に広がるのはじゃりじゃりとした砂を噛むような気持ちの悪い食感。
とてもではないがこれを食べることは出来ない。
そうは思うものの、きらきら光る大きな目を更に大きく見開いてこちらを見ている兎の前で不味いなどとは言えず、何とか喉の奥へと押し込んだ。

ごくり、と音がして漸く口の中がすっきりとする。

目の前の兎は明らかに感想を待っている。

「お…いしい…よ…」
「本当か!?良かった!」

嬉しそうに笑う兎がこれまで自分が餌にしてきた生き物と同じだという事が不思議だった。
今は目の前の兎を(美味しそうには見えるけれど)食べる気にはならなかった。

「薬も持ってきたんだ。足を出してくれ」

足には昨日巻いたはずのリボンはどこにも無かった。
兎は籠から色々取り出すと、手際よく傷口に薬を塗りこみ真新しい包帯で巻いていった。

「これでいい。薬を塗ったからすぐに良くなるだろう。良くなったらまた歩けるようになる」
「…ああ」
「昨日のリボンはどうしたんだ?」
「…悪い。捨ててしまった」
「そうか、別に気にするな。人参はどうだ?気に入ったか?」
「…ああ」
「良かった!ではまた持ってこよう!」
「それは…」

『いらない』と狼が最後まで言い終える前に兎は出口へと駆けていった。

「じゃあまたな!」

駆けていく兎の姿が見えなくなると、狼は残りの人参を地面に埋めた。





To be continued.
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